2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540362
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
樹神 克明 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (10313115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
社本 真一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主席 (90235698)
田中 秀吉 独立行政法人通信総合研究機構, 関西先端研究センター, 主任研究員 (40284608)
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Keywords | 強相関電子系 / 磁性 / ナノチューブ、フラーレン / 物性実験 |
Research Abstract |
巨大負熱膨張物質Mn_3Cu_<1-x>Ge_xNについて、その巨大負熱膨張率の起源を調べる目的で定常炉での中性子回折および^<14>N核の核磁気共鳴(NMR)測定、さらにパルス中性子回折データのPDF解析を行った(前者2つの実験は平成20年度研究実施計画(1)、後者は(2)に該当するものである)。この物質はGe濃度xが0.15付近では温度下降に対して磁気秩序とともに急激な体積膨張を示すが、x=0.5付近では磁気秩序に伴う体積膨張が温度に対して緩慢になり、その結果として大きな負の熱膨張率をもつ。中性子回折および^<14>N核NMR測定からx=0.15付近の試料では磁気秩序温度からΓ5g型反強磁性磁気モーメントが急激に成長するのに対し、x=0.5付近の試料ではそれが緩やかに成長しており、Γ5g型反強磁性磁気モーメントの成長の温度依存性と体積膨張が対応していることがわかった。またパルス中性子回折データのPDF解析によってこの物質系の局所構造を調べた結果、この系の結晶構造に含まれるMn_6N正八面体が回転しており、平均構造のもつ立方対称性が局所的には破れていることがわかった。同様の解析を様々なGe濃度の試料について行ったところ、Mn_6N正八面体の局所回転が大きい試料ほど磁気秩序に伴う体積膨張が温度に対して緩慢になっており、その結果巨大負熱膨張率が発現していることがわかった。この結果はバルク物質中に存在するナノスケールの構造歪みが新奇物性の起源になり得ることを示している。
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