2008 Fiscal Year Annual Research Report
複雑系における過冷却液体およびガラス転移の統計物理学的研究
Project/Area Number |
18540363
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳山 道夫 Tohoku University, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (40175477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 弥生 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (20301814)
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Keywords | ガラス転移 / 過冷却液体 / ユニバーサリティ / 非線形揺らぎ / スローダイナミクス / 空間不均一構造 / 自己拡散 / 多体相関 |
Research Abstract |
[A]大規模シミュレーションによる徳山理論の検証 : 徳山が提案している, 弱いガラスから強いガラスまで, あらゆるガラス形成物質に見られるガラス転移近傍での"普遍的法則"を確かめる為に, 次の二つの異なる原子系における大規模シミュレーションを実行した. (1)バルク金属ガラス形成物質Cu_<60>Ti_<20>Zr_<20>. (2)二酸化ケイ素SiO_2. シミュレーションの結果を徳山平均場理論により分析し, このような異なった系においても, 他の弱いガラス形成物質に対して確かめられている普遍性が存在し, 平均場理論でそれらのダイナミクスが良く記述されることが示された. このことは, より簡単な物質に対して第一原理より簡単な基礎理論を構築することにより, より複雑な体系のダイナミクスの予想が可能になることを示唆している点で大変重要である. これらの結果は, 現在論文および国際会議のプロシーディングスに投稿中である. [B]モード結合理論の検証 : 徳山が提案している平均場理論の観点に基づいてLennard-Jones系に対して大規模シミュレーションを遂行し, ガラス転移現象をよく記述すると言われているモード結合理論の検証を行った. ガラス転移点近傍に近づくにつれ, モード結合理論の数値解はシミュレーション結果から, ベータ緩和過程で大きくずれることが示された. これは徳山が1976年に提案した射影演算子法に基づく予想と完全に一致することを示し, 新しい理論的取組みの必要性を促すこととなり, 現在その理論構築に早速取組中である. 検証結果は, 雑誌Physica A 387, 4749(2008)に発表済みである.
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[Book] Complex systems2008
Author(s)
M. Tokuyama, I. Oppenheim, H. Nishiyama
Total Pages
1-829
Publisher
American Institute of Physics
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