2007 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒多電子ダイナミクスの第一原理シミュレーション
Project/Area Number |
18540366
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
矢花 一浩 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (70192789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乙部 智仁 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 研究員 (60421442)
中務 孝 独立行政法人理化学研究所, 中務原子核理論研究室, 准主任研究員 (40333786)
橋本 幸男 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (50189510)
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Keywords | 時間依存密度汎関数法 / 電子ダイナミクス / 強レーザー場科学 / 超短パルスレーザー / 量子シミュレーション / 第一原理計算 / クーロン爆発 |
Research Abstract |
本研究は、電子ダイナミクスを第一原理的に記述する計算科学的なアプローチを発展させ、フェムト秒領域で起こる光と物質中の電子との相互作用を定量的に記述し、物質の光応答の本質を明らかにすることを目的としている。光応答の多様な観測量は、おおよそ0.1-1eV程度のエネルギー解像度の情報をもたらすが、これを不確定性関係を用いて時間の次元で考えるとフェムト秒スケールの電子ダイナミクスに相当する。従ってフェムト秒スケールの多電子ダイナミクスを記述することにより、光応答と多電子ダイナミクスの関係を明らかにすることができる。 本年度は、強レーザー場中にある分子と固体のダイナミクスに関する系統的な分析、及び放射光による内殻励起後の電子ダイナミクスに関する予備的な検討を行った。強レーザー場中にある分子中の電子・イオンダイナミクスの解明に関しては、多価に荷電した分子の生成と、そのクーロン爆発のメカニズムに関して進展が得られた。実験的に観測されている、クーロン爆発後のイオンが持つ運動エネルギーの抑制や、イオンの運動量がレーザーの偏光面と強く相関することを、第一原理計算により一定の精度で再現することができ、強レーザー場中の分子ダイナミクスに関する理解を進展させることができた。強レーザー場中の固体で起こる電子・イオンダイナミクスの解明に関しては、ダイヤモンドを例にとり光絶縁破壊のメカニズムを詳細に調べ、その結果を論文にまとめ発表した。内殻励起後の多電子ダイナミクスの解明に関しては、シェイクアップやシェイクオフ等の過程に対する時間依存密度汎関数理論による分析を行い、予備的な結果を得た。
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Research Products
(4 results)