2007 Fiscal Year Annual Research Report
ランダムネスの強い量子格子模型に対する大規模シミュレーション手法に関する研究
Project/Area Number |
18540369
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤堂 眞治 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 講師 (10291337)
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Keywords | 計算物理 / 量子格子模型 / ランダムネス / 磁性 / 長距離相互作用 / 量子スピン系 / 量子モンテカルロ法 / 並列計算 |
Research Abstract |
平成19年度は前年度に引き続き,ランダムネスの強い量子格子模型に対する大規模シミュレーション手法に関する研究を行なった.特に以下の三点に焦点を絞り研究を進めた.1)ランダム量子格子模型のための新たな量子モンテカルロシミュレーションの手法の開発とその応用:平成18年度に開発したBethe型の鎖間平均場近理論の強磁性体への応用,長距離相互作用系に対するO(N)温度交換モンテカルロ法の開発,双極子イジング模型の相転移への応用などを行なった.また,異方性の強い系に対する多体グリーン関数法を開発した.2)ランダム系のシミュレーションから得られる膨大な量の出力データを保存・検索・解析するためのアーカイブシステムの構築:計算パラメータおよび計算結果を蓄積するデータベースシステムを開発・構築した.また,データベースにアクセスしデータの登録および可視化のためのデータ検索・抽出をおこなうためのインターフェイスを整備した.ローカルディスク上のデータベースファイルとネットワーク上のデータベースサーバをシームレスに切り替えて使うことが可能であり,特に後者を利用する場合,複数の研究者によるデータの共有・交換,データの公開が容易に行える.現在公開準備を進めている.3)超並列スーパーコンピュータや分散計算機環境を利用したシミュレーションのための計算資源管理システムの構築:既存のスケジューラでは,個々のシミュレータの実行がシングルプロセスに制限されている,数千から数万のサンプルに関するランダム平均を取らなければならないランダム系のシミュレーションのサポートが不十分,等の問題があった.これらの制限のない多重並列化スケジューラALPS/parapackを開発した.さらに,交換モンテカルロ法などの拡張アンサンブルシミュレーションを並列環境で容易に実行するためのアダプタを開発した.2007年6月にALPS/parapackバージョン1.0を公開した.
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Research Products
(13 results)