2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540374
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川村 光 大阪大学, 理学研究科, 教授 (30153018)
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Keywords | フラストレーション / パイロクロア / スピングラス / モンテカルロシミュレーション / カイラリティ / カイラルグラス |
Research Abstract |
幾何学的フラストレート磁性体の典型であるパイロクア反強磁性体と、ランダムなフラストレート磁性体の典型例であるスピングラス、双方を対象とした研究を進めた。 パイロクロア反強磁性体については、等方的なハイゼンベルグモデルに対し、次近接相互作用の効果を温度交換法に基づく大規模モンテカルロシミュレーションにより調べた。その結果、特に次近接相互作用が強磁性的な場合、この系が特異な秩序状態へ1次の相転移を起こすことを確立することが出来た。18年度は、この低温秩序相について、詳細な解析を行った。その結果、低温相は4倍周期を有する立体的なスピン構造がスライドしているような秩序状態にあると考えると、シミュレーションの諸結果が矛盾無く理解できることが判った。また、パイクロア磁性体に関しては、近年その特異な振る舞いに注目が集まっているPr_2Ir_2O_7のモデルとして、RKKY長距離相互作用を有するパイロクロア格子上のイジングモデルのシミュレーションも行った。フェルミ波数に対応する相互作用パラメータの値により、多様な秩序状態が出現することが判明した。 スピングラスの秩序化についても、大規模モンテカルロシミュレーションを進めている。特に18年度は、ベキ相互作用を持った1次元ハイゼンベルグスピングラスの秩序化に対し系統的な解析を行い、適当なべき指数の領域で、この系が通常のスピングラス秩序を伴わないカイラルグラス秩序化を示す(スピンカイラリティ分離)ことを明らかにした。
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Research Products
(5 results)