2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540374
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川村 光 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (30153018)
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Keywords | フラストレーション / パイロクロア / スピングラス / モンテカルロシミュレーション / カイラリティ / カイラルグラス |
Research Abstract |
19年度は、昨18年度の研究成果に立脚し、幾何学的フラストレート磁性体の典型であるパイロクア反強磁性体の磁気秩序化現象の解明を主としたと研究を進め、以下の成果を得た。3次元イジング型パイロクロア反強磁性体の秩序化の問題は、氷のプロトン秩序化と残留エントロピー問題-所謂「スピンアイス」問題-とのアナロジーもあり、近年大きな注目を集めてきた問題である。典型的なスピンアイス磁性体は絶縁体であり、そこでの主たる相互作用は磁気双極子相互作用である。他方近年の実験研究により、イジング型金属パイロクロア磁性体Pr_2Ir_2O_7が低温で極めて興味深い振る舞いを示すことが明らかになってきた。Pr_2Ir_2O_7の場合、金属であることを反映して、主たるスピン間相互作用がRKKY長距離型相互作用になっていると期待される。19年度は、RKKY相互作用を有するパイロクロア格子上の<111>イジングモデルの磁気秩序化を、相互作用の長距離性をより厳密に取り入れるべくEwald sumの手法を用いたモンテカルロシミュレーションにより調べた。その結果、フェルミ波数に対応したパラメータ値により多様な秩序化現象を観測した。特にPr_2Ir_2O_7の実験値に近いパラメータ値の場合、反強磁性的なキュリーワイス定数を持ちながら低温での短距離秩序は強磁性的な"2-in2-out"構造を取ること、有限温度で系は波数(0,0,1)で特徴付けられる長距離秩序状態へと1次の相転移を示すこと、(111)方向に磁場を印加すると飽和磁化の3/8の所に磁化プラトーが出現すること等を新たに見出し、最近のPr_2Ir_2O_7に関する実験結果と比較検討した。
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Research Products
(5 results)