2008 Fiscal Year Annual Research Report
液晶光バルブにおける非線形パターンダイナミクスとカオス同期の研究
Project/Area Number |
18540375
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
長屋 智之 Oita University, 工学部, 教授 (00228058)
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Keywords | パターン形成 / 非線形動力学 / 液晶 / 画像処理 |
Research Abstract |
液晶光バルブに光フィードバックと電圧を課した系に出現する自己組織化パターンの時空カオスの動的特徴を定量的に解析し,この系でのカオスダイナミクスを考察した。また,2つの液晶光バルブの系についてカオス同期の実験を試みた。 時空カオスは,Karhunen-Loeve(KL)展開によって解析した。この方法は,観測した動画像を互いに相関の無い動画像群に分離する。この動画像は,振幅,時間固有関数,空間固有関数の積で構成される動画像成分を積算したものである。振幅の2乗(固有値)がn番目のKLモードのエネルギーに対応する。固有値の展開番号に対する減少率は固有値スペクトルと呼ばれ,この分布から動画像の揺らぎの複雑性を評価できる。静的な花弁状パターンでは,揺らぎのエネルギーは最低時のKLモードに集中し,分岐が起きてカオス状態へを移り変わると,低次のKLモードから高次のKLモードへとエネルギーが移り変わっていった。しかし,最も揺らぎの激しい時空カオス状態においても,約20個のKLモードが揺らぎ全体の90%程度を占めることがわかった。このとき,大域エントロピーは約0.5であり,かなり相関の残った時空揺らぎであることがわかった。また,分岐近傍で観測される,斑状ドメインの定常的伝搬のモードが,2つのKLモードに対応することが判明し,この2つのモードだけでこの運動を再現することに成功した。 カオス同期の実験を試みるために,まず同じ規格の2つの液晶光バルブの特性を計測した。しかし,残念ながら,2つの素子の特性が僅かに違うことから,全く同じカオス状態が作り出すことができず,カオス同期の実験は断念せざるを得なかった。
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Research Products
(5 results)