2007 Fiscal Year Annual Research Report
混合位相空間における古典および量子カオスに関する研究
Project/Area Number |
18540378
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
首藤 啓 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 准教授 (60206258)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 真司 分子科学研究所, 計算分子科学研究系, 教授 (70262847)
田中 篤司 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (20323264)
|
Keywords | 混合位相空間 / 量子カオス / 古典カオス / カオス的トンネル効果 / 遅い緩和 / ガラス / 定負曲率 / フラストレーション |
Research Abstract |
1.カオス的トンネル効果と動的局在 前年度,カオス領域でおこる動的局在過程と,位相空間上の規則領域とカオス領域との間の動的トンネル過程とが相互に独立な過程ではなく,非常に強く相関し合っていることを1次元周期外力系を用いて示した.それに対して平成19年度は,1次元周期外力系が2つ結合した2次元の周期外力系に対して,同様の考察を行い同様の結論を得た.特に,1次元系においては,雑音印加によって実現された動的局在の無効化による,カオス的トンネル効果の増大現象が,2次元結合系では,系の次元が大きくなったことによる局在長の増大効果によってそのままの状態で実現された.このことは,カオスとトーラスの混合系で従来信じられていた「半古典波動関数仮説」に再考を促す結果と言える. 2.曲率のある空間上の粒子モデルを用いたガラスの動力学の研究 従来のガラスの研究では、二成分系(二種類の粒子の混合系)のモデルが主に用いられてきた。しかし、二成分混合系などでは系のパラメータが多く(粒子の混合比、粒子のサイズ比など)、それらがお互いに複雑に関係し合っているため,系統的な研究が難しく,動力学的な性質についての考察は現象論の域を出ることが難しい.そこで,本研究では,負の曲率を持った空間における剛体粒子の多体問題を考察した.曲率のある空間では、並進対称性が失われることから,結晶構造が存在せず,ガラス的な遅い運動が見られると期待されるが,実際,分子動力学計算を行った結果,ガラスに特徴的なフラストレートした運動をもとにおこる遅い緩和過程が観察され,ガラスを考えるための単純な設定を準備することができた.
|
Research Products
(5 results)