2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540381
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
松川 宏 青山学院大学, 理工学部, 教授 (20192750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
御領 潤 青山学院大学, 理工学部, 助手 (70365013)
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Keywords | 地震 / 走査プローブ顕微鏡 / トライボロジー / ナノチューブ・フラーレン / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
固体問の滑り摩擦は最も身近な物理現象の一つであり古くから研究が行われてきたが、多くの基本的な問題が未解決のまま残されている。しかし、近年では超高真空技術などの発展により表面の制御も可能となり、摩擦力顕微鏡など新たな実験手段が開発され、ミクロ・ナノスケールの摩擦の研究が始まっている。本計画では、階層構造をなす異なるスケールの界面摩擦を、それぞれのスケールに適した有効モデルを構築しそれを解析し、次にそれらを結びミクロレベルからのマクロ摩擦機構の解明を目的としている。また、界面摩擦に類似の現象は、密度波や超伝導体中の磁束格子のピン止めと運動など、固体内でも観測される。これら多様な系の摩擦現象には多くの共通する性質(普遍性)と各々の個性がある。しかし、その普遍性と個性の物理に関しても基本的な多くの問題が未解決である。固体内摩擦系を含めた総合的研究を行い、摩擦現象の動的相図を完成し摩擦機構の統一的理解を測ることも目的の一つである。さらに摩擦の普遍性と多様性を明らかにし、摩擦の予測及び新たな摩擦制御技術の創成を目指す。以上のような目的に向かい以下のような実績を挙げた。 (1)乱れのない結晶表面上のフレークおよび吸着膜の滑り摩擦の計算機実験を行い、ある条件下ではそれらは摩擦力が小さくなる、または滑り速度が大きくなるよう自らの状態を変化させることを示した。 (2)2層カーボンナノチューブ間の摩擦の計算機実験を行い、一方がカイラル型の場合、並進運動と回転運動を変換する機能を発揮することを示した。 (3)グラファイト間に挟まれたフラーレンは特異な回転運動をすることを示した。 (4)地震におけるべき乗則(グーテンベルグ・リヒター則)のサイズ依存性、次元依存性等を明らかにした。 (5)2-ギャップ超伝導体薄膜において無理数量子化磁束の観測可能性を論じた。 (6)電荷密度波の示すパルス巾記憶効果の多次元系、乱れのある系での発現機構を明らかにした。
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