2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540381
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
松川 宏 Aoyama Gakuin University, 理工学部, 教授 (20192750)
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Keywords | ナノトライボロジー / 走査プローブ顕微鏡 / トライボロジー / ナノチューブ・フラーレン / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
(1)狭い領域に閉じこめられた潤滑剤の摩擦の数値実験 機械は精密になるほどその摺動面間の間隔は狭まり、そこに入る潤滑剤も薄くなる。潤滑剤層が10分子層程度以下となると層状構造を作り、さらに5分子層程度以下になるとバルクの融点より高温でも、狭い領域に閉じ込められたことと、基盤がもたらす周期ポテンシャルの影響により、固化することが知られている。我々はこのような狭い領域に閉じ込められた潤滑剤の摩擦を2,3次元のモデルに基づき分子動力学法により調べた。そして潤滑剤分子と基盤間の相互作用の強さを変えると摩擦力が不連続に変化することがわかった。これは潤滑剤層の構造変化によるものである。 (2)グラファイト基盤間のフラーレンの運動の数値実験 グラファイト基盤間にフラーレンの単分子層を挿入した系では最大静摩擦力こそ有限となるものの平均の動摩擦力が0となる、すなわち散逸が無いことが実験で報告されている。この振る舞いの機構を明らかにするため、我々はグラファイト基盤間のフラーレンの運動をシミュレートした。その結果、平均の動摩擦力として、実験結果と矛盾しない結果をえた。この場合、系はスティック・スリップ運動を示し,摩擦力は時間とともに周期的に変化するが、そのプロファイルは実験と異なる。 今後、(1)の計算を進め、実験で観測可能な予測を試みる。(2)においては有限温度におけるフラーレン分子の回転の効果を取り入れていきたい。
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