2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540382
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
大槻 東巳 Sophia University, 理工学部, 教授 (50201976)
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Keywords | 量子ホール転移 / 量子スピンホール効果 / 局在-非局在転移 / アンダーソン転移 / 臨界指数 / ネットワークモデル / 有限サイズスケーリング / トポロジカル絶縁体 |
Research Abstract |
本研究の目的は,Chalker-Coddingtonモデルをはじめとする様々な量子ネットワークモデルを詳細に検討し,普遍的な物理量を精密に計算し議論することである。量子ネットワークモデルは,様々な物理現象のエッセンスを抽出したもので,その単純さゆえに非常に高い精度の計算が行える。こうした単純化にようても値が変わらないような普遍的な量,例えば量子臨界点における様々な物理量の議論にこのモデルは最適である。 上記の特性を利用して,量子ホール転移の臨界指数を有限サイズスケーリングにより精密に解析した。その結果,局在-非局在転移(アンダーソン転移)に関する臨界指数が,20年間信じられていた値より実際は1割程度大きい可能性を指摘した。この成果(Slevin, Ohtsuki, Phys. Rev. B80, 041304 (R) (2009))は,掲載雑誌のEditor's suggestionに選ばれ,またアメリカ物理学会のホームページのPhysicsというサイトにも掲載された。(http://physics.aps.org/synopsis-for/10.1103/PhysRevB.80.041304) また,Chalker-Coddingtonモデルを拡張し,完全透過チャンネルをもった系の伝導特性,特にポイントコンタクトコンダクタンスを調べ,完全透過チャンネルも局所的には系全体に広がって流れていることを指摘した。さらに,Chalker-Coddingtonモデルを2重化した量子スピンホール効果のモデルにおいて,臨界点でのコンダクタンスの分布や,トポロジカル絶縁体側でのポイントコンタクトコンダクタンスの計算を行い,伝導を担っている状態が実はバルクの中にかなり大きく広がっていることを示した。
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Research Products
(5 results)