2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540386
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
田中 秋広 National Institute for Materials Science, 計算科学センター, 主任研究員 (10354143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 昌仙 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, 主任研究員 (40370308)
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Keywords | 量子スピン系 / ベリー位相項 / 有効理論 / 量子相転移 / 量子スピン液体 / 秩序間競合 / 磁化過程 |
Research Abstract |
研究代表者は以前、ギャップレススピン液体であるπフラックス状態を出発点に、競合する秩序変数をまとめた「複合秩序変数」の低エネルギー理論を注意深く構築し、新しいベリー位相項が生じること(及びそれに伴う新しいユニバーサリにティーが出現し得ること)を示した。 このように秩序間競合により新しいベリー位相項が誘起され、低エネルギーの物理を支配するというシナリオが見られる、より分かりやすく、しかし非自明な問題として、磁場中の反強磁性体の問題を調べたのでその結果を要約する。この問題における秩序間競合は、磁場方向の磁化と、磁場に垂直な面内の反強磁性秩序の間で起こる。両者の大きさの比は磁場により決まるので、低エネルギーで重要となるのは面内ネールベクトルの向きの自由度であり、これはXY模型として表される。このXY的な有効理論を実際に導出すると、虚時間時空におけるボルテックス励起に伴って、2π(S-m)qというベリー位相が生じることが分かった(ここでSはスピン量子数、mはサイト辺りの磁化、qはボルテックスの巻き付き数)。これはS-mが整数の場合以外は、ボルテックス同士の負の位相干渉効果が生じ、低エネルギーの物理にボルテックスが関与できないことを意味する。これまで一次元系以外ではこのような整合性条件は未解明であったが、この議論は任意の空間次元に適用できる。さらにS-mが伴奇数のとき有効理論はZ_2ゲージ対称性を有する。このゲージ理論の相図は近年よく調べられていて、トポロジカル秩序のある分数量子化相も生じうることが知られるので、磁場中の磁性体における新規な量子秩序を見つけるための指針を与えうるものと考えている。(本成果は日本物理学会、APS march meetingにて口頭発表済、論文投稿中。)
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