2007 Fiscal Year Annual Research Report
光トラップにおける効率的レーザー冷却法の開発とその応用
Project/Area Number |
18540392
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
熊倉 光孝 University of Fukui, 大学院・工学研究科, 准教授 (30324601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 紀夫 福井大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30134654)
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Keywords | レーザー冷却 / 光トラップ / 二重磁気光学トラップ / 極低温原子気体 / 偏向勾配冷却 / ルビジウム / レーザー周波数安定化 / 原子光学 |
Research Abstract |
本研究の目的である光トラップ中での原子のレーザー冷却には、原子のトラップ中での振動が大きな役割を果たすため、運動操作に必要な数100ms程度の時間に亘って原子を断熱的に保持できる超高真空中で原子のトラップを実現することが必須である。そこで本年度は、昨年度準備したレーザー光源と超高真空装置を利用して、始めに二重磁気光学トラップにより87Rb原子を超高真空中に磁気光学トラップし、更に偏向勾配冷却を行うことによって光トラップ可能な極低温にまでRb原子の冷却を行った。 二重磁気光学トラップ法では、まず常温のRb原子蒸気が充満する低真空領域(10^<-7>Torr程度)で磁気光学トラップ(MOT)を行って、約10^9個の原子を2mK程度にまでレーザー冷却・トラップし、次に、この低温原子集団をレーザー光による輻射圧で超高真空領域に導入し、再度、別のMOTで冷却・捕獲を行った。これにより、10^<-ll>Torr程度の超高真空中に約10^9個のRb原子を1mK程度の温度で準備することができた。得られた原子集団は光トラップに効率よく導入するには未だ高温であったため、更に偏向勾配冷却を行った結果、目的であった100μK程度にまで冷却することができた。 また、光トラップ中での更なるレーザー冷却に必要なトラップ寿命が実験装置で得られているかを確認するため、既設の磁気トラップ装置を利用してトラップ寿命や熱平衡化速度の測定も行った。その結果、現在の真空度で約1分程度のトラップ寿命があり、約2分で1mKから10μKまでRF蒸発冷却が可能であることが確認され、残留気体の衝突による加熱が小さいことがわかった。以上のように、光トラップでのより複雑な原子操作に必要な保持時間を確保し、冷却過程を詳細に実験研究することが可能となった。
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