2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540403
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥薗 透 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特任講師 (10314725)
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Keywords | 膜 / ソフトマター / 非平衡 / ダイナミクス / 乾燥 / 蒸発 |
Research Abstract |
本研究は、非平衡条件下での膜の大変形過程のダイナミクスを理解するために、流体中の膜の運動を記述する一般的な枠組みを構築し、それに基づいた数値モデルの確立を目的とする。本年度は、非平衝状態における膜形成ダイナミクスの典型として、固体基板上の高分子溶液の乾燥過程における高分子膜の形態形成をとりあげ、その理論解析および数値シミュレーションを行った。 固体基板上の高分子液滴が乾燥するとき、その接触線が固定されている場合には、溶媒の蒸発に伴って液滴内部に外向きの流れ場が生じ、それによって溶質(高分子)が輸送されるため、乾燥後の高分子膜の厚さが不均一となる。本研究では、ゲル化を考慮して膜形状の理論的予測およひ気相における溶媒拡散の膜形状に与える影響についての数値的な研究を行った。また、実験家の協力の下、界面活性剤の添加による膜形状制御の可能性を議論した。主な結果は以下のとおりである。 (1)有限の高さをもつ隔壁によって接触線が固定されており、蒸発速度が一定の系において、溶質の拡散が無視できろ場合には、乾燥後の膜形状は初期の液滴の高さおよびゲル化濃度に相対的な溶質濃度によって完全に決定され、2つの膜形状パターンが現れる。溶質の拡散が有限の場合には、3つの膜形状パターンが現れ、拡散が大きくなるとより均一な膜形状の領域が広がる。 (2)固体基板上の複数の高分子液滴の乾燥の場合には、気相における溶媒濃度分布が重要である。溶媒濃度分布は液滴の気液界面での境界条件を含むラプラス境界値問題の解として与えられるので、それらの液滴の配置に上って、それぞれの液滴の乾燥後の高分子膜は非対称な形状をとる。
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[Journal Article]2009
Author(s)
奥薗透
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Journal Title
インクジェット技術における微小液滴の吐出・衝突・乾燥「高分子溶液の蒸発・ゲル状皮膜の形成メカニズム」(第3章第1節[5])(技術情報協会)
Pages: 302-313
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