2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540407
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉森 明 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 准教授 (90260588)
|
Keywords | Lennard-Jones-Gauss ポテンシャル / 相転移 / 配置エントロピー / 自由エネルギーランドスケープ / ガラス転移 / タンパク質の拡散 / 液体の分布関数 / DNAのホール移動 |
Research Abstract |
2008年度は次の成果が得られた。 1.粒子間の相互作用ポテンシャルに2つの極小がある系の固液共存線を密度汎関数法と熱力学的な摂動論を使って計算した。 3次元系の有限温度での相図を明らかにした。また、計算機シミュレーションで結晶が見られなかったパラメータで、その原因を明らかにした。共存相が他のパラメータに比べ極端に広くなるために、核形成の頻度が少なくなるために、シミュレーションで結晶が得られないことが分った。 2.ガラス転移に関連して議論される配置エントロピーと比熱の関係を明らかにする理論を開発し、2準位系とアインシュタイン振動子系に応用した。従来行われて来た比熱の実験データから配置エントロピーを計算する方法が、厳密でないことを明らかにし、2準位系で15%、アインシュタイン振動子系で45%も多く見積もってしまらことを明らかにした。また、実際の液体について、分子動力学シミュレーションで配置エントロピーを得る方法を開発した。 3.溶媒分子より10倍大きい溶質分子が拡散する場合に、溶媒分子の分布の効果を明らかにした。分布を仮定して、溶質分子のまわりの溶媒分子の密度が大きくなると、拡散係数が減少することを定量的に計算した。剛体球系の分布関数を積分方程式の理論で計算し、溶媒分子の密度を考慮しない場合に比べ、拡散係数が半分になることが分った。 4.DNAにおけるホール移動の理論を具体的な実験系に応用した。いくつか並んだAT対の片端に色素を付け、 反対側にGC対を付けた系について、電流の大きさとAT対の数の関係を明らかにした。実験値ど整合する再配置エネルギーの大きさを決め、GC対からの再結合反応との競合を明らかにした。
|