2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540410
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
好村 滋行 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 助教授 (90234715)
|
Keywords | ピッカリング・エマルション / コロイド / 吸着 / 曲率弾性定数 / 自発曲率 / ソフトマター |
Research Abstract |
二種類の液体を混合すると、一方の液体が他方の液体に分散したエマルションが生成する。しかし、通常のエマルションは熱力学的に不安定であるため、時間の経過とともに自発的にドロップレットが合一し、やがて巨視的に分離してしまう。しかし、二種の液体間の界面に粉体粒子やコロイド粒子が吸着すると、エマルションが長時間にわたって安定化される場合がある。このようなエマルションのことをピッカリング・エマルションと呼ぶ。本研究の目的は、ピッカリング・エマルションの構造、相挙動、ダイナミクスを理論的に解明することである。 本年度は球状粒子の液液界面への吸着について検討した。そこでは特に界面の曲率効果について調べた。界面が曲率をもつ場合、体積エネルギーを考慮することが重要である。その結果、粒子の吸着位置は古典的なヤングの式で与えられ、曲率には依存しないものの、粒子の吸着エネルギーには曲率依存性があることがわかった。さらに、平坦な液液界面は不安定であることが示された。我々は得られた吸着エネルギーを用いて、二つの液体と界面における粒子の分配を計算した。その結果、粒子の分配は液滴の曲率の強く影響を受けることが示された。 我々は同様の解析を、球面の半分が親水的で、残りの半分が疎水的であるヤヌス粒子に対しても行った。ヤヌス粒子の場合には、液液界面が粒子表面の塗り分けの位置と一致する「アンカーリング」の状態がある条件で実現する。この場合には、粒子の吸着位置はヤングの式を満たさず、界面の曲率に依存することがわかった。さらに、均一な粒子とは異なり、平坦な界面が安定であることを示した。これらの結果を用いて、ヤヌス粒子が吸着した界面の曲率弾性定数と自発曲率を解析的に計算した。 これら以外にも、粒子表面が凹凸構造をもつ場合の粒子の吸着について検討を行った。
|