2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540410
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
好村 滋行 Tokyo Metropolitan University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (90234715)
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Keywords | ピッカリング・エマルション / コロイド / 吸着 / 曲率弾性定数 / 自発曲率 / ソフトマター |
Research Abstract |
油と水のように互いに非相溶な液体から成るエマルションの安定化には、通常、界面活性剤が用いられる。一方、コロイド粒子や粉体粒子を使ってエマルションを安定化することもできる。我々は、コロイド粒子の相対的な濡れ性が、界面吸着のダイナミクスにどのような影響を及ぼすかについて検討した。具体的には、二種類の液体間の水平な界面に、一方の液体中に含まれる球状コロイド粒子が拡散過程によって吸着する状況を記述するモデルを考案した。自由エネルギーを用いた定式化により、界面での粒子濃度とサブレイヤーでの粒子濃度に関する連立微分・積分方程式を導出した。そのうちの-つは古典的なワード・トルダイ方程式と呼ばれるものである。他方の方程式は界面粒子濃度の時間発展を記述し、相対的な濡れ性パラメータが含まれる。我々は様々な濡れ性パラメータについて、これらの連立方程式を数値的に解くことによって、粒子吸着に要する特徴的時間を求めた。その結果、粒子の吸着性が強いほど吸着は速く進行することがわかった。その際の特徴的な時間はワード・トルダイ方程式の漸近形から導かれるものと一致し、フラムキンの吸着等温式で決まる平衡状態における界面粒子濃度の2乗に比例することがわかった。この結果は、粒子吸着のプロセスが拡散律速で支配されていることを示している。また、長時間の解析により、界面粒子濃度の平衡値からの差と、動的な界面張力は、それぞれ時間の-1/2乗に依存して減少することも見出した。さらに、界面張力と界面粒子濃度を関係付ける状態方程式は、非平衡状態でも一般に成り立つことを数値的に確認した。
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