2007 Fiscal Year Annual Research Report
外部刺激による皮膚バリアー機能を司る構造の変化過程のX線回折による研究
Project/Area Number |
18540411
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
八田 一郎 Japan Synchrotron Radiation Research Institute, 産業利用推進室, コーディネーター (70016070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 昇 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 協力研究員 (90353507)
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Keywords | X線回折 / 小角散乱 / ラメラ構造 / 皮膚角層 / 細胞間脂質 / 化粧品 / 経皮吸収 / 時間変化 |
Research Abstract |
われわれのこれまでのヘアレスマウス角層の小角X線回折実験では角層中の水分量を20〜30wt%にすると長周期ラメラ構造と短周期ラメラ構造の反射がともに鋭くなることが分かっている.この現象が哺乳類の種に依らない普遍的な現象であるかどうかを明らかにするためにヘアレスラット角層で試みたが短周期ラメラ構造の反射が弱くまだ結論に達しなかった.一方,試作していた溶液セルが完成したので,はじめにクロロホルム・メタノール混合液を流し,ヘアレスマウス角層の脂質の抽出過程における小角/広角X線回折実験を行った.抽出に従って小角領域に現れる細胞間脂質のラメラ構造による反射および広角領域に現れる細胞間脂質の炭化水素鎖の充填構造による反射がともに減衰することを見出した.炭化水素鎖の充填構造による斜方晶の反射の測定結果を詳しく解析し,強度が指数関数的に減衰するか,半値幅およびピーク位置はともに不変であることを見出した.この現象は細胞間脂質集合体が抽出された部分と不変の部分に分かれており,抽出とともに抽出された部分が増大し不変の部分が減少すると説明した.皮膚角層に溶液を作用したときにこのような部分的な変化が起こるのは普遍的な現象であると考えられる.さらに,グリセロール溶液を角層試料に作用させ,長周期ラメラ構造の反射と短周期ラメラ構造の反射の時間変化を測定した.グリセロール水溶液中での小角/広角X線回折実験結果を解析したが,水を作用したときとの大きな差異は無く,グリセロールのみの際立った寄与は認められなかった.
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Research Products
(5 results)