2006 Fiscal Year Annual Research Report
空振・地震波形の同時解析による噴火ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
18540416
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大湊 隆雄 東京大学, 地震研究所, 助教授 (70322039)
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Keywords | 火山 / 地震 / 空気振動 / 噴火 / 数値波形計算 |
Research Abstract |
本研究の目的は、噴火に伴い発生する地震波と空気振動(空振)を同時に解析する手法を開発し、噴火ダイナミックスの解明に資することである。地震波形は火道内部の力学的状態を反映し、空振波形は噴火に伴って大気に加わる圧力変動や大気中に注入される高温物質の流量・温度等に関する情報を反映する。この両者を個別に解析する試みはこれまでもあったが、同時に解析した例は無い。本研究では、以下の3点を順を追って進める。 1)圧縮製流体の支配方程式の数値解法に基づく空振波形解析手法を開発する。 2)既存の地震波形解析手法とのカップリングによる地震・空振波形の同時解析手法を確立する。 3)開発された上記の手法を、2004年浅間山噴火時に得られた地震・空振波形に適用し、噴火のダイナミクスを詳細に理解する。 平成18年度は上記1)および2)を行った。 1)については圧縮性流体のオイラー方程式を数値的に解くことによる空振波形計算用差分プログラムがほぼ完成し、大気の成層構造などの初期条件、地形などの境界条件が計算結果にどのような影響を及ぼすか、の評価を行った。また、これらの影響に加えて火道から大気に注入される高温物質の初期圧力・初期温度などの影響の評価も部分的に進めた。 2)の空振波形の解析手法開発については、振幅が小さく線形近似が成り立つ範囲では、単純な入力基本波形に対する観測位置での波形を計算し、その重ね合わせによって実際の観測波形を表現することができることを確かめた。一方、大振幅においては非線形が強くなり、重ねあわせによる表現は徐々に精度を失う。このような非線形逆問題を解くために、前年度はパラメタ空間をグリッドサーチすることによる解法の開発を進め、パラメタ範囲の絞込みができることを確かめた。
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