2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540419
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 直樹 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (30272660)
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Keywords | 地震波 / 大気音波 / 重力波 / 波動計算 / モード結合 / 重ね合わせ法 / 津波 / Rayleigh波 |
Research Abstract |
本課題研究は固体地球,海洋,大気までを含めた全地球複合系の波動計算を目指したものである.平成19年度は前年度に構築した波動計算法の応用にあたった.特に,10年前に発見された常時地球自由振動の励起機構と大地震に伴って発生する電離圏全電子数密度(TEC)の変動に関して理論計算を行った.常時自由振動は大気音波モードと水平波数と周波数が重なる伸び縮みモードで顕著に振幅が大きい.それ故その励起は大気中で生じていると考えられる.固体モードの固有関数は地表面(海面)以深では大気の有無に関わらず同じと言える.そのため振幅の増大を説明するには大気中に励起擾乱を置かなければ説明できない.そこで,大気圧変動による地表面への力の働きに加え地面直上に体積的な圧力源としての効果も加えた.結果は大気音波モードと重なるモードの振幅の増大だけでなく,その前後のモードの振幅のパターンもうまく説明できるものであることが分かった.しかし地表面への面力と体積的な圧力源という2つの項として力源を表現することに対し明確な理由付けを与えることができなかった.だが観測を良く説明する二つの項の重ね合わせの符号のあり方を検討しているうちに地面直上ではなく,高さ1kmほどにランダムな力源を分布させることで同じ効果を得ることに気づいた.非常にシンプルな解であり,常時自由振動の大気励起説を後押しする結果であった.この成果は二つの国際学会(ICTCA, ITW)で報告し,現在投稿準備中である.また,地震に伴う電離圏全電子密度変動に関する波動的考察は地球惑星科学連合大会にて報告する.
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