2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540419
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 直樹 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (30272660)
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Keywords | 地震波 / 音波 / 重力波 / モード結合 / 重ね合わせ |
Research Abstract |
平成20年度は昨年度までに作成したモードの重ね合わせ法を用いて実際に波形計算をおこなった。計算対象としたモードは周期10秒以上の(大気を含む)固体モードの伸び縮み基本振動(レイリーモード)と周期10秒以上の音波モード(固体地球を含む)の1,347,924個のモード(マルチプレット)である。計算法の応用として1994年北海道東方沖地震の際に見られた電離圏全電子数(TEC)変動と2008年6月の宮城内陸地震の際に房総半島の夷隅CTBTOインフラサウンド観測点で記録された音波を計算対象とした。周期10秒以上であるが固体地球から高層大気まで含んだ地震波および地震音波のグローバルな計算は世界初である。日置らは北海道東方沖地震で見かけ速度4km/sと約1km/sのTEC変動を報告している。今回、レイリーモードと音波モードの両方を入れて高度100kmから300kmの範囲に着目して地震波形を計算した。結果は見かけ速度4km/sのTEC変動はレイリーモード即ちレイリー波の大気成分であること、見かけ速度1km/sの変動は熱圏内に折り返し点を持つ長周期音波に対応することが分かった。各高度の圧力変動がそのままTEC変動である訳ではないため細部を詰めて行く必要がある。一方、宮城内陸地震の音波記録であるが、観測点夷隅はちょうど震源から上空に伝わった音波が再び地上に戻る地点のやや震源よりに位置する(シャドウゾーン端)。そのため長周期の音波波形は中低層大気に捕獲されたチャネル音波と戻って来た音波の長周期成分の染み出しが重なったものである。今回、宮城内陸地震の震源を9つの破壊領域に区分けし破壊のdirectivityも考慮した計算をおこなった。その結果、合成波形は観測音波の長周期成分を非常によく再現することが分かった。但し微弱であるが音波観測にはレーリー波も見られるがレイリー波と音波の到着時刻差は観測と理論計算では若干の違いが見られた。この違いは大気モデルの違い特に東西風の影響が強いと思われる。東西風の波形への影響は今後の課題である。
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