2006 Fiscal Year Annual Research Report
不安定渦と波動による再循環セル形成の力学ープリミティブ方程式系モデルを用いて
Project/Area Number |
18540429
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水田 元太 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 助手 (30301948)
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Keywords | ジェット / 再循環 / ロスビー波の放射 |
Research Abstract |
海洋におけるジェット状の強い流れとその周りに形成される再循環からはロスビー波が放射され、運動量を輸送することで循環の形成に寄与することが先行研究によって示唆されているが、その詳しい仕組みは十分には理解されていない。本研究では運動量の輸送を決定する基礎量であるロスビー波の波数、周波数の特性を理想化された設定における数値実験によって調べた。また、それらの波動が平均的な循環に与える影響について考察した。平坦な海底の矩形海盆に西側境界から黒潮続流に近い密度成層、流量を持つ傾圧的なジェットを流入させると、ジェットの南北両側に平均的な再循環が形成される。このとき、ジェットの不安定などによって生じる流れの擾乱は平均循環の弱い遠方でも比較的強く、順圧的で、variance ellipseの長軸の向きからジェットから放射された波動によるものであることが示唆される。 擾乱の周波数空間上におけるEOF第1成分は約40日より長い周期帯で西向きに伝播し、その周期と局所的な波数は順圧ロスビー波の分散関係をほぼ満たす。これらの擾乱の西進位相速度は周期帯によらずほぼ一定であった。順圧ロスビー波の位相速度がこの値に達し得ない短周期の周波数帯では擾乱は東方伝播しジェットに捕捉されていた。また、境界における流入の大きさを半分にすると擾乱の西進位相速度もほぼ半分となった。この様にジェットと再循環から放射される波動の波数、周波数特性は再循環の強さによって大きく制限される。また、再循環を形成する渦位フラックスにはロスビー波が放射される周期帯からの寄与が大きいことが示された。
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