2008 Fiscal Year Annual Research Report
能動型衛星センサーによる雲・エーロゾルの相互作用に関する研究
Project/Area Number |
18540437
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
小林 隆久 Japan, Meteorological Research Institute, 気象衛星・観測システム研究部, 室長 (40343892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 一彦 気象庁気象研究所, 気象衛星・観測システム研究部, 室長 (90354513)
青木 輝夫 気象庁気象研究所, 物理気象研究部, 室長 (30354492)
石元 裕史 気象庁気象研究所, 気象衛星・観測システム研究部, 主任研究官 (70281136)
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Keywords | 衛星センサー / 能動型センサー / エーロゾル / 雲 / 降水 |
Research Abstract |
本研究は、衛星搭載能動型・受動型センサーの複合利用により、エーロゾルの間接効果に関する知見を得るものである。エーロゾルは雲核として働くため、エーロゾル数濃度により雲粒サイズが変わり、太陽反射率が変化する。この効果は第1間接効果と呼ばれている。また、汚染大気のような高濃度エーロゾル地域では雲粒サイズが小さくなり、降水が抑制され第2間接効果と呼ばれている。この第2間接効果では、どの程度雲粒サイズが減少すると降水が抑制されるかまた光学的厚さが降水でどう変化するかを知ることが重要である。このため衛星により雲・降水同時観測を行った。 平成20年度は、降雨レーダから地表付近の降水強度、可視・赤外放射計のCh1とCh3の放射輝度から雲光学的厚さと有効半径を算出した。雲光学的厚さと降水量をプロットするとバラツキが大きく明確な相関は見られなかった。しかし、平均をとると光学的厚さは、降水強度と共に増加する傾向が明瞭にみられた。光学的厚さは、雲に含まれる雲水量および雲粒粒形分布で決まる。雲水量と降水強度の関係を調べると、雲水量は降水強度と共に増加する傾向にあることが分かった。上述した、光学的厚さの降水強度に対する増加傾向と類似しており、光学的厚さの増加は一義的には雲水量の増加に起因することが分かった。光学的厚さと雲水量は降水強度と共に増加傾向にあるが、雲水量の方がより大きな増加を示した。光学的厚さは雲水量に比例して変化するため、粒形分布も降水強度と共に変わったものと推定される。有効半径と降水強度の関係を調べると、有効半径は降水強度と共に増加する傾向にあることが分かった。特に降水を伴わない雲から弱い降水を伴う雲においての増加が顕著に認められた。有効半径の増加は、雲粒->雨滴への変換過程における雲の雲粒粒形分布の変化がもたらしたものである。雲粒が成長しDrizzleが生成される場合、雲粒粒形分布の幅が広がることが数値モデルや観測から指摘されている。エーロゾルの間接効果は、高濃度エーロゾル地域では雲粒サイズが小さくなりアルベドが変質、また、降水が抑制され、降水による雲粒除去作用が減り曇の寿命が長くなるというものである。粒形分布の幅の変化はアルベドに大きな影響を与えるにも関わらず、アルベドの変質においては、通常粒形分布の形状の変化は考慮されていないため、粒形分布の幅の広がりはエーロゾルの間接効果に大きな影響を及ぼす。本研究における観測結果についても粒形分布の広がりがあったものと推定される。この誌結について国内外の学会で発表すると共に国際誌に投稿、掲載された。
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Research Products
(8 results)