2007 Fiscal Year Annual Research Report
西部熱帯太平洋における暖水輸送とエルニーニョ・ラニーニャサイクル
Project/Area Number |
18540440
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
石田 明生 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境観測研究センター, 研究員 (60359148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏野 祐二 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター, 技術研究副主幹 (00421876)
細田 滋毅 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター, 研究員 (60399582)
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Keywords | 海洋物理 / 気候変動 |
Research Abstract |
フィリピン東方沖の暖水の蓄積・放出のプロセスに関して、トライトンブイ・アルゴフロートデータを用いて、表層から躍層の変動を調べた。北緯8度のブイデータは顕著な年変動を示しており、冬季にミンダナオドームが発達するという過去の研究を支持していること、また、東経130度では東経137度に比べ1〜2ヶ月変動が遅れていることが明らかとなり、アルゴデータや風応力データから、局所的な風よりも東方遠方で励起されたロスビー波の西方伝播による効果が大きいことが示唆された。また、2002/03年のエルニーニョ以降、北緯8度では暖水蓄積が見られるが、北緯5度では認められないことから、暖水蓄積に局所性があることが示唆された。さらに、アルゴデータを用いた表層塩分変動の解析では、近年の熱帯域周辺の低塩分化傾向が観測され、全球規模の淡水フラックスの変動と関連が示唆された。 西岸境界流、ミンダナオ渦、ハルマヘラ渦と暖水変動に関して、北緯5度東経137度トライトンブイデータから、100mより深いところで春から夏にかけて躍層が深くなっており、2004年・2005年にはそれに加えて20〜25℃間の層厚が厚くなっていた。北赤道反流の北上に伴い、高温の南太平洋起源の海水がこの緯度に到達したことを捉えていた。 暖水輸送における北半球と南半球の非対称性について、モデルの流速場の解析を中心として、暖水変動の南北非対称性と風応力変動を調べた。エルニーニョに伴う内部域での暖水放出に対して、南半球側ではほぼ西岸域での暖水輸送により相殺されること、一方、北半球側では西岸域の変動は内部域に比べ約半年遅れており、赤道域の正味暖水量変動に北半球側の輸送が重要であることを定量化した。また、暖水輸送の南北非対称性は、エルニーニョに伴う西風偏差の北から南への移動によるものであり、線形長波ロスビー波の西方伝播と関連していることが分かった。
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Research Products
(7 results)