2008 Fiscal Year Annual Research Report
西部熱帯太平洋における暖水輸送とエルニーニョ・ラニーニャサイクル
Project/Area Number |
18540440
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
石田 明生 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境観測研究センター, 研究員 (60359148)
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Keywords | 海洋物理 / 気候変動 |
Research Abstract |
フィリピン東方沖の暖水の蓄積・放出のプロセス、赤道外から赤道域への暖水輸送、暖水輸送における北半球と南半球の非対称性に関して、トライトンブイ・アルゴフロートデータや数値モデルを用いて、大気外力に対する海洋の応答の観点から西部熱帯太平洋における海洋変動を調べた。2006/07年のエルニーニョ期、2007/08年のラニーニャ期におけるフィリピン東方での船舶観測により、エルニーニョ期にミンダナオ海流が強化されていることを捉えた。これらの海流変動に対応する力学高度の変化は北緯8度東経130度のトライトンブイによっても観測された。その力学高度の変動は、エルニーニョ期においてはフィリピン沖において力学高度が下がる、すなわち暖水が放出されていることを示唆している。この力学高度の低下に伴う地衡流バランスからミンダナオ海流が強化されている。さらに、風応力の時間変動やモデル結果などから、局所的な風の変動よりもむしろ、大平洋中央から東部において風に強制された躍層変動が西方に伝搬することによって励起されていることが分かった。 暖水輸送における北半球と南半球の非対称性について、風応力に強制されたロスビー波の西方伝播と、西岸での流量収支から、西岸域での暖水輸送変動を調べた。西岸域での南北輸送は、さらに高緯度側でのロスビー波の西岸域への入射と西岸に沿うケルビン波的応答によって決まる。南半球側では内部域での南北暖水輸送が、ほぼ西岸域での暖水輸送に相殺されるか、その要因として、高緯度域でのエクマンポンピングにより励起されたロスビー波か、西岸域に暖水を輸送し、内部域での暖水放出を西岸域での暖水充填にすることによっていることが分かった。
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