2008 Fiscal Year Annual Research Report
「冷える海洋-暖まる大陸」パターンの力学的メカニズムの解明
Project/Area Number |
18540441
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
本田 明治 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境フロンティア研究センター, 主任研究員 (20371742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 省三 同志社大学, 理工学部, 准教授 (10373466)
高谷 康太郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 研究員 (60392966)
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Keywords | アリューシャン低気圧 / アイスランド低気圧 / 海陸コントラスト / 定常ロスビー波 / ストームトラック / 惑星波 / 気候変動 / 地球温暖化 |
Research Abstract |
「冷える海洋-暖まる大陸」パターン、いわゆるCOWLパターンの変調の力学的メカニズムについて、数値実験の長期ランの結果、再解析データを用いてその空間構造の特徴や力学的特性、気温の長期傾向との関連を継続して調べた。COWLはユーラシア及び北米大陸上の昇温傾向に伴って近年のアリューシャン低気圧とアイスランド低気圧の強化傾向を反映している点を昨年度の成果として報告したが、冬季北半球の高緯度域の昇温がこの10年ほど落ち着いていることもあり、新たな事実として、最近は必ずしも温暖化の指標とはなっていないことが分かってきた。代表者及び分担者の3名は、COWL提唱者であるワシントン大Wallace氏を9月に訪問し多くの有意義な議論を交わしたが、その際にも近年の傾向は特に注目すべき点とされた。近年の北半球高緯度域の昇温の鈍化には雪氷圏変動が主要な役割を果たしていることが最近指摘されてきている。中でも我々は近年の夏季を中心とした北極海の海氷激減に着目し、観測データを用いた統計解析、大気大循環モデルを用いた感度実験から、夏〜秋の北極海の海氷域減少は続く冬季ユーラシアの広範囲に渡って気温低下(上昇ではない)をもたらすことを明らかにした。この結果は国際英文誌(Geophysic al Research Letters)に投稿し平成21年3月に受理されたところである。単調な昇温傾向では説明かつかなくなってきている北半球高緯度域の気温の変化傾向は、これまで得られていたCOWLの形成過程、メカニズムの概念、予測可能性について、今後新たな視点でCOWL研究を進めていく必要があることを示している。しかしながらCOWLが陰ながらも北半球大気循環場の主要パターンのひとつであることは世界のコミュニティーでも大筋で認識されており、3年間の本研究を通じて更に解明すべき問題を提唱することができた。
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Research Products
(8 results)