2007 Fiscal Year Annual Research Report
石英1粒子による段丘堆積層の赤色熱蛍光年代測定の開発
Project/Area Number |
18540448
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
鴈澤 好博 Hokkaido University of Education, 教育学部, 教授 (40161400)
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Keywords | 赤色熱蛍光 / 年代測定 / 石英 / 段丘堆積層 |
Research Abstract |
年代測定に優れた性質を持つ石英の赤色熱ルミネセンスを用いて,石英1粒子による様々な堆積物の年代測定法の開発について検討した.特に段丘堆積物の年代測定について検討した.測定精度を上げるため,X線照射部を備えた高感度熱ルミネセンス年代測定装置の改良を進めた.その結果,石英1粒子による年代測定が可能となった.この装置を用いて,上北平野段丘堆積物の単粒子年代測定を進めた.その結果,全体の5%程度の粒子が想定される年代測定値とほぼ一致したが,他の粒子は相当程度古い年代を示し,これは太陽光では消去されない赤色蛍光シグナルが石英に残存するためと推定された.この成果については,2006年香港で開催された第1回APLDで発表した.また,改良装置を用いて測定が可能になったSAR法について検討を進めた. この手法により多粒子によるSAR年代測定をToya火砕流を用いて試みた.SAR方は同一試料に対してX線照射と加熱を繰り返すため,石英の赤色熱ルミネセンス強度の感度変化が生じる.この点をテスト線量測定で検証したところ,一回の照射に対し0.94-1.29の感度変化が認められた.感度補正後の赤色熱ルミネセンス平均年代は最下位火砕流(Tpfl1/II)で132±15ka,中・上位火砕流(Tpf1 IIIおよびTpf1 IV)で113±13〜114±11kaであった.この年代は,地形,テフラ対比から総合的に推定された110〜115kaに近似した結果となった.SAR法による赤色熱ルミネセンス年代測定はテフラ年代測定に有効であることが示された.この成果は地質学雑誌に2007年に公表した.
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