2007 Fiscal Year Annual Research Report
花崗岩の定置に関連した複合熱水-資源形成システムの熱年代学的手法による再評価
Project/Area Number |
18540452
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
大平 寛人 Shimane University, 総合理工学部, 助教 (60273918)
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Keywords | 熱水変質作用 / 粘土鉱床 / 地質年代 |
Research Abstract |
花崗岩地域に胚胎する粘土鉱床のうち,島根県東部の鍋山セリサイト鉱床と矢野馬木ハロイサイト鉱床を研究対象とした.鍋山鉱床のセリサイト鉱体から水ひ法によって抽出したいくつかのセリサイト試料は52.9〜53.5Maの安定したK-Ar年代を示した.一方,鉱体に残存する石英粒子の二次流体包有物は280〜290℃に主要な温度モードを有し,融点から求めた塩濃度は0%に近い値であった.これらの結果は,セリサイト鉱床が,花崗岩の定置後の上昇冷却過程の比較的高温の時期(280〜290℃,53Ma頃)に,天水に近い希薄な流体の関与した熱水変質作用によって形成されたことを示す. 矢野馬木ハロイサイト鉱床については,鉱床母岩(斜長石岩)からハロイサイト鉱体への岩石組織の変化(特に石英の溶脱組織の変化)から熱水変質作用によって形成された粘土鉱床であることが明らかとなった.鉱床母岩(斜長石岩)の石英の二次流体包有物は170〜180℃に主要な温度モードを有するのに対し,ハロイサイト鉱床中の溶脱を免れた残留石英の二次包有物は140〜340℃の幅広い温度モードを有し,気液比が変化に富むことが明らかとなった.これらの結果はハロイサイト鉱床が,概ね200℃以下の沸騰した流体の関与した熱水変質作用によって形成された可能性を示唆する.鉱体から取り出されたジルコンのFT年代は49〜54Maを示す.熱水活動はジルコンのFT閉鎖系(240℃)に熱的影響を与えておらず,得られたFT年代は鉱床母岩(斜長石岩)の冷却年代と推定される.
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