2008 Fiscal Year Annual Research Report
花崗岩の定置に関連した複合熱水-資源形成システムの熱年代学的手法による再評価
Project/Area Number |
18540452
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
大平 寛人 Shimane University, 総合理工学部, 助教 (60273918)
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Keywords | 熱水変質作用 / セリサイト / カオリン / フィッション・トラック / 放射年代 / 粘土鉱床 |
Research Abstract |
島根県中央部〜東部の花崗岩中に胚胎するセリサイトやカオリンなどの粘土鉱床形成に関連した熱水変質作用と熱履歴を放射年代測定と流体包有物温度から検討した. 島根県東部の鍋山セリサイト鉱床は,共存する方解石の流体包有物温度から,花崗岩の定置直後に約240℃の熱水によって形成された.鉱体全域にわたって認められる170℃と140℃の低温の2次流体包有物温度は,セリサイト鉱床形成後もひきつづき継起的熱水活動が活発であったことを示し,特に最も低温域の温度モードは坑道内の亀裂を充填する石膏脈の形成と関連する可能性がある.石英の流体包有物温度は鉱体中心から周辺の弱変質部に向かって290℃から260℃と,熱水の浸透とともに低下する.鉱体東部においては石英の流体包有物に微細な輝水鉛鉱を伴うものがあり,初成的には金属鉱床を形成するような高温の熱水であった可能性がある.セリサイトのK-Ar年代は52.9Ma〜53.5Maであり,鉱体のジルコンのフィッション・トラック(FT)年代50.3〜56.1Maと調和的であった.周辺花崗岩類のジルコンFT年代も類似した値を示す.このことはセリサイトが花崗岩定置後の冷却途中の熱水活動によって形成したことを示す.アパタイトのFT年代は28.4〜40.5Maは熱水活動が30Ma頃まで継続していたことを示唆する.島根県南東部小馬木のカオリン鉱床についても,斜長石石英岩の定置後の比較的低温(約160℃)の熱水変質作用によって形成したことが明らかとなった.
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Research Products
(2 results)