2008 Fiscal Year Annual Research Report
結晶構造解析に基づく過去2億年における石灰質ナンノプランクトンの変遷史の解明
Project/Area Number |
18540461
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
亀尾 浩司 Chiba University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00312968)
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Keywords | 石灰質ナンノ化石 / ナノリス / へテロココリス / 結晶 / 形態 |
Research Abstract |
本研究は,三畳紀末に出現し,現在まで生息している主要な海棲プランクトンである石灰質ナンノプランクトンの変遷を,ナンノプランクトンが形成する方解石の微小結晶の解析という,これまでとは異なる観点から検討しようとする試みである.本研究で取り扱う化石は,とくに石灰質ナンノ化石の中でも,その主たるグループである「ナノリス」と「ヘテロココリス」である.本年度は昨年度までと同様,偏光顕微鏡と走査型電子顕微鏡に基づく観察と画像データの収集を進めて,ヘテロココリスとナノリスを形成する結晶の形と光学的方位の違いを解析した.昨年度までの実績に加え,本年度の結果を加えたところ,結晶の形とその光学的性質の違いに基づくと,ヘテロココリスを作る円石藻類はおおむね4つのタイプに分けられることが明らかになった.それと同時に,前年度端緒をつかんだ同属内での形態と光学的性質の違いがさらに明確になりつつある.例えばナノリスのーつであるスフェノリスに見られるように,偏光顕微鏡下では同じような消光パターンを持つものであっても,個体を構成する結晶の形状とその光学的性質に基づけば,古第三紀に存在したものと新第三紀のそれとで明らかに異なっていることなどである.また,新生界において非常に長い生息レンジを持つプラコリスのあるグループも,時代によって偏光顕微鏡下での観察では認めがたい結晶の組み合わせに違いがあることが分かりつつある.これらのことは,化石を構成する微細構造の違いが分類群を区分するための本質的な違いとして重要になりそうである.
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