2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540462
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荻原 成騎 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (50214044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂村 倫成 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (90360867)
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Keywords | 嫌気的メタン酸化 / バイオマーカー / イソプレノイド炭化水素 / 冷湧水炭酸塩 / ANME / 海洋無酸素事変 |
Research Abstract |
地質時代の嫌気的メタン酸化古細菌について、バイオマーカー分析によってANME-1とANME-2の識別を行う技術(手法)を確立した。 これを用いて、北海道を中心に本邦の化石冷湧水炭酸塩の分析を行い、メタン酸化古細菌の組み合わせ(分布)の時代変化の解明を試みた。その結果、冷湧水炭酸塩沈殿場における嫌気的メタン酸化に関与した古細菌は,アルビアンよりも古い時代ではAMNE-1グループのみが活動し,セノマニアン以降はANEM-1とAMNE-2グループ両者の活動が世界的に広がっていた. 現在知られている中期白亜紀の海洋無酸素事変は,アプチアン最下部(OAE1a),下部アルビアン最部(OAE1b),上部アルビアン下部(OAE1c),上部アルビアン最上部(OAE1d),セノマニアン/チューニアン境界(OAE2)の5つである(Erbacher and Thurow,1997).本研究で明らかにしたメタン生成古細の群集組成の変化は,上部アルビアン上部からセノマニアン最下部の間で生じている.クレンアーキタ門古細菌がOAE1bで生息域を拡大したように,アルビアン最上部で生じた海洋無酸素事変(OAE1d)にANME-2グループが生息地域を拡大したとするとメタン生成古細菌群集組成の変化をうく説明できる.絶対嫌気性のメタン生成古細菌ANME-2グループにとって,海洋無酸素事変は生息域大の絶好の環境変動であったと考えられる.ただし,白亜紀中期に5回生じた海洋無酸素事変のうちなぜOAE1dにおいてANME-2グループの拡大が選択的に生じたのか今後の研究課題である.
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