Research Abstract |
西赤道太平洋の西カロリン海盆とオントンジャワ海台で採取されたコアについて,セジメントとラップ試料の解析結果から栄養塩の供給時に増加する種に着目して,過去25万年前以降の環境変遷と海洋構造変化について解析を行った.その結果,西カロリン海盆より顕著な変化がオントンジャワ海台コアで認められた.特に,酸素同位体ステージ3,5,5/6境界で同種の産出頻度が高いことが認められた.西カロリン海盆では,セジメントトラップでは,同種の多産は,冬季に限られていることからコアにみられた同種の多産は,より冬季の影響を反映した結果と推測される. また,オントンジャワ海台で採取されたコアは,中央太平洋水塊と西太平洋暖水海域との境界に位置しており,ラニーニャ時には,その境界域で栄養塩が高くなることが報告されている。これまでの研究から,同種は,西赤道太平洋暖水隗域では,有光層の下部に生息し,中央赤道太平洋では,水温躍層の浅海化に伴って,その生息深度も浅くなり亜表層に生息することが明らかとなっている.したがって,この生息環境を考慮すると,この種の生産が高くなった時期は,中央水域に位置していた栄養塩の豊富な海域がより西側に移行し,結果として,中層へ栄養塩が高くなることが報告されている。これまでの研究から,同種は,西赤道太平洋暖水隗域では,有光層の下部に生息し,中央赤道太平洋では,水温躍層の浅海化に伴って,その生息深度も浅くなり亜表層に生息することが明らかとなっている.したがって,この生息環境を考慮すると,この種の生産が高くなった時期は,中央水域に位置していた栄養塩の豊富な海域がより西側に移行し,結果として,中層へ栄養塩が供給されたことによると考えられ,この時期は,水温躍層の浅くなるような海洋の鉛直構造に変化があったと推測される.
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