2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540467
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
木元 克典 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境観測研究センター, 技術研究主任 (40359162)
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Keywords | 浮遊性有孔虫 / 放散虫 / 遺伝的多様性 / 北西太平洋 / 鉛直分布 / 適応放散 |
Research Abstract |
2006年度は学術研究船淡青丸航海において、親潮域から小笠原沖にかけて7測点においてプランクトン採取及びCTDによる海洋観測を行なった。本航海では亜寒帯域から亜熱帯、黒潮域にかけて鉛直多層式開閉ネット(Vertical Multiple Plankton Sampler;VMPS)を用い、各種有殻動植物プランクトンサンプルを採集した。プランクトン採取と同深度の水深200m以浅で、海水の安定酸素同位体比の測定を行い塩分との関係を求めた結果、海水の酸素同位体比は-0.8〜0.4‰(VSMOW)の値を示し、観測された塩分値とよい相関を示し、以下の関係式を得た(δ^<18>O swは海水の酸素同位体比、VSMOW、Sは塩分)。 親潮域(三陸沖-房総沖)δ^<18>O sw=0.521×S-17.96 黒潮域(伊豆沖)δ^<18>O sw=0.352×S-11.93 現在、有殻動植物プランクトン群集の深度分布および遺伝子解析を進めている。 2007年度には、対馬海峡にてプランクトンネット観測を実施した。本海域では100μm以下の浮遊性有孔虫Gallitellia vivansが極めて多く産出することを明らかにした。本種について16S rDNA解析を行い、系統関係を調べたところ、これまで報告のない第四番目の新しい浮遊性有孔虫の系統であることが明らかとなった。これらはいずれも最初の報告となり、極めて重要な成果である。放散虫では、本来日本海約500m以深の固有水中に産出するCycladophora davisianaが対馬海峡で産出することを初めて明らかにした。これは日本海固有水が対馬海峡を通じ東シナ海に流出している可能性を示唆し、プランクトンの分散、生物地理区を明らかにする上でも重要な結果であるといえる。 2008年は上記の成果をまとめ、その一部が国際誌に2編公表された。
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