2008 Fiscal Year Annual Research Report
円石藻類の炭酸塩殻における形態の光学的特徴に関する研究
Project/Area Number |
18540469
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
古川 登 Chiba University, 大学院・理学研究科, 助教 (40251194)
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Keywords | 結晶成長 / 円石藻類 / 方解石 / 光学的性質 |
Research Abstract |
本研究の目的は、円石藻類の殻の形態が光学的にどのような機能を持っているかを明らかにすることである。研究実施計画の各項目に対応する成果として 1)について,試料厚さを200マイクロメートル以下にすれば赤外吸収スペクトルを得られることを確認した.この結果をふまえ,20-200マイクロメートルの定方位方解石試料を作製し赤外分光光度計を用いて、8000cm-1〜400cm-1までの範囲の波長の透過率を測定をおこなった。その結果,I-1)結晶方位により,明確な異方性が見られた.I-2)特に,c軸に平行な面の吸収パターンは,CO32-の平面振動に対応するピークが複数のピークに分離することが確認された.これはが本来,正三角形であるCO32-イオンにゆがみが生じていることを示唆する. I-3)CO32-イオンの倍音の解釈には従来議論があるが,複数の厚さの試料を測定することにより,倍音に関する新たな知見が得られる可能性を示した. 3)について.シミュレーションの基礎として,分子軌道法による解析が利用できる可能性があり,Gaussian Inc.のソフトウエア「GaussianO3」を購入し,予備的な解析を行った.その結果.1700cm-1付近に見られるピークは,CO32-イオンの平面振動にゆがみが生じることで説明できる可能性が得られた.
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