2006 Fiscal Year Annual Research Report
鉄の酸化速度と黒雲母の溶解:大気酸素進化と低酸素分圧下での鉱物風化の関連
Project/Area Number |
18540470
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 隆 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (00253295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小暮 敏博 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (50282728)
月村 勝宏 産業技術総合研究所, 副センター長 (20357510)
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Keywords | 大気進化 / 酸化速度 / 風化 |
Research Abstract |
先カンブリア時代の大気中の酸素の濃度変化は、生命の進化のみでなく、海洋の進化など地球表層環境の変化に密接に関連する重要な地球科学的課題である。古土壌(当時の風化を受けた岩石)や硫黄同位体の物理的化学的解析から、具体的進化モデルが提唱されてきたが、真核生物の進化に直接関係した地球史上最初の酸素増加が起きたと考えられる約28から18億年前の酸素濃度変化は定量的な算出がなされてない。本年度はまず、低酸素分圧下でのFe(II)の酸化速度式を求めた。ガスの混合比率により酸素分圧がコントロールできるグローブボックス内で、酸素分圧(10^<-4>-0.2気圧)とpH(6.9-8.0)を変化させながら、Fe(II)溶液のFe(II)濃度減少の時間変化を液体クロマトグラフィとICP-AESで測定した。これで得られたデータから、Fe(II)の酸化速度式、-d[Fe(II)]/dt=k[Fe(II)][OH^-]^2[PO_2]^xのxが1.0(0.2気圧)から酸素分圧が減少するとともに減少し、10^<-4>気圧で0.7になることがわかった。また、上記グローブボックスを用いて、風化系を模擬した開いた系で、含鉄鉱物の中で溶解速度が早いオリビンを用い、溶解実験を行い、溶出したFe(II)の、酸化されて系に残るFeと酸化されずに系から流出するFeの分配を求めた。酸化されずに系から流出するFeは、ICP-AESで、酸化されて系に残るFeは、Dithionite-citrate(DC)抽出法により濃度測定した。酸化されて系に残るFeの割合は、0.92(0.2気圧)から酸素分圧が減少するとともに減少し、10^<-4>気圧で0.15になることがわかった。これは約25から20億年前の古土壌に残るFeの割合と類似し、当時の酸素上昇のパターンを再現している。
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