2007 Fiscal Year Annual Research Report
鉄の酸化速度と黒雲母の溶解:大気酸素進化と低酸素分圧下での鉱物風化の関連
Project/Area Number |
18540470
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 隆 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (00253295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小暮 敏博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (50282728)
月村 勝宏 東京大学, 産業技術総合研究所, 主任研究員 (20357510)
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Keywords | 大気進化 / 酸化速度 / 風化 / モデル |
Research Abstract |
カンブリア時代の大気中の酸素の濃度変化は、生命の進化のみでなく、海洋の進化など地球表層環境の変化に密接に関連する重要な地球科学的課題である。古土壌(当時の風化を受けた岩石)や硫黄同位体の物理的化学的解析から、具体的進化モデルが提唱されてきたが、真核生物の進化に直接関係した地球史上最初の酸素増加が起きたと考えられる約28から18億年前の酸素濃度変化は定量的な算出がなされてない。本年度は、風化に伴うFeの挙動の理論的な考察から、風化帯中の溶存Fe(II)濃度に影響を与える主要なfactorである、i.Fe(II)含有一次鉱物の溶解速度、ii.Fe(II)の酸化速度、iii.地下水流速をモデル化および微分方程式化し(d[Fe^<2+>]/dt=f+g+z(f:酸化項、g:地下水による流出項、z:溶解項))、風化帯中のFe(III)/Fe(II)濃度比(φ)と大気酸素濃度(PO_2)の関係を定量的に導いた。昨年度、実験により求めた(φ)と大気酸素濃度(PO_2)の関係と比較するため、実験の条件(流速、pH、溶解速度など)を入カパラメータとして上記方程式に入れ計算したところ、φとPO_2の関係が実験値とほぼ一致し、モデルの妥当性が検証された。さらに様々なパラメータの感度解析を行ったところ、溶解に関するパラメータ、風化時間、風化帯中の酸素濃度変化は、φとPO_2の関係に大きな影響を与えないことがわかった。しかし、地下水流速、pHは大きく影響を与えることがわかり、実際の古土壌に適用する際には、これらのパラメータの吟味が必要なことがわかった。
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