Research Abstract |
1) 第1256D孔が明らかにした超高速拡大海洋地殻は,溶岩層とシート状岩脈群の厚さの比Re/i=2.4ときわめて高い値を示す。孔内計測によると,溶岩層の上部450mは山麓で定置し,その下125mは海嶺軸斜面を流下した枕状溶岩で,下部239mが海嶺軸上で定置した。すなわち,溶岩層全体の3分の2はオフリッジで定置したものである。孔内計測によるバルク密度と,コア試料の化学組成から上部地殻の密度構造を推定すると,マグマよりも高密度の溶岩層とシート状岩脈群からなり,浮力の中立点を欠くことがわかる。そのため,発生した岩脈は容易に海底にまで到達し,噴火に至る。海嶺軸山頂はゆるやかに盛り上がり,流出した溶岩を山頂に止めておく中軸谷を欠くために,必然的に溶岩は海嶺軸斜面を流下し,山麓のオフリッジに厚く堆積することになる。従って,マグマ溜まり深度が一定であれば,高いRe/iは噴火量によって決まることになる。即ち,海洋地殻構造を規制するものとして,噴出量が重要であることがわかった。 2) 北部オマーンオフィオライトシート状岩脈群 オマーンオフィオライトのシート状岩脈群の石基鉱物粒径の層序変化を解析した結果について考察を進めた。Av number〜10^2のオーダーが多く,Spohn et al. (1988)Modelに比べて同じAv numberに対して,粒径が1桁小さい。核形成率が最大になる温度Tiがリキダス温度Tmに近くなると細粒結晶が多くなり,粗粒結晶が少なくなる。オマーンではTi/Tliquidusがモデルで想定された値よりも小さい可能性が考えられる。
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