2007 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウムを含む下部マントル鉱物の結晶構造および熱力学的安定性
Project/Area Number |
18540478
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
糀谷 浩 Gakushuin University, 理学部, 助教 (60291522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤荻 正樹 学習院大学, 理学部, 教授 (30126560)
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Keywords | 下部マントル / 高圧高温実験 / カルシウムフェライト / ラマン分光 / 定圧熱容量測定 / 格子振動 / 結晶構造 / 熱力学 |
Research Abstract |
NaAlSio_4カルシウムフェライトは、安定領域で高圧合成しているにもかかわらずジェイダイト、コランダム、スティショバイトと共存するため、単相試料を作成するのが非常に困難であった。高圧セルの改良や最適合成条件の探索により、最終的にはほぼ単相のNaAISio_4カルシウムフェライトの合成に成功した。合成された試料を用いてラマン分光測定を行った。得られたラマンバンドは非常にブロードなピークを示すことから、(Al,Si)0_6八面体サイトにおいてAlとSiがランダムに分布していることの証拠が得られた。また、室温から約350℃までのNaAlSiO_4カルシウムフェライトの定圧熱容量測定も行われた。その温度区間でのNaAlSiO_4カルシウムフェライトのモル比熱は、CaAl_2O_4カルシウムフェライトのものに比べて僅かに小さい値を示した。このことからCa^<2+>よりもイオン半径の大きなNa^+により、低波数領域での格子振動の振動数が高波数側にシフトし、低温での比熱を小さくしていることが予想された。これらの結果は、キーファーモデルを用いた熱容量の理論計算を行う際に重要な情報である。 NaAlSiO_4-Mg_2SiO_4系での高圧相関係実験を行った結果、NaAlSiO_4カルシウムフェライトへのMg_2SiO_4成分の最大固溶量は20ml%未満であることが分かった。また、全体組成において例えMg_2SiO_4成分が20mol%以下であったとしても、カルシウムフェライト相は必ずガーネット相と共存することも判明した。カルシウムフェライト相の組成分析からこの系を擬似2成分系として取り扱うことが非常に困難であるという結果が得られた。ガーネット相との共存および組成分析は、カルシウムフェライト相中に陽イオン欠陥の存在を示唆する。
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