2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18549001
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野尻 伸一 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授 (00432229)
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Keywords | 暗黒エネルギー / 宇宙の加速膨張 / 超弦理論 / 重力理論 / インフレーション |
Research Abstract |
超弦理論の一次の補正としてガウス=ボンネ項と呼ばれる時空の曲率の二次の項が重力の作用の中に現れる。また、宇宙が減速膨張から加速膨張に移ったのが、なぜおよそ50億年前かということを説明するために非局所的な重力理論を考えるシナリオがデーザー=ウッダードらにより提案されている。本年度はガウス=ボンネ項を持つ重力理論と非局所的重力理論と組み合わせて加速膨張を説明するシナリオを検討し、それが可能であることを明らかにし、今後の観測でどのように検証できるかを議論した。 スカラー場が重力と結合した理論(スカラー=テンソル理論)で、特に物質優勢期を再現するような模型を実際に構築するとともに、宇宙初期のインフレーションから現在の宇宙膨張を再現するような模型を構築した。 ここ数年来暗黒エネルギーの模型としてf(R)-理論というものが盛んに研究されている。比較的最近になり、スタロビンスキーやフー=サウィッキらによって、加速膨張を説明するとともに、宇宙論から来る様々な制限を満たすような模型が提案された。我々はこの模型と同様に加速膨張や様々な観測結果を説明するとともに、宇宙初期のインフレーションも同時に説明できるような模型を提案した。その後、フローロフによって、f(R)-重力理論に含まれるスカラーモードによって不安定性が生じることが指摘された。我々はこの不安定性を系統的に調べ、どのようにすればこの不安定性を避けることができるかを明らかにし、実際に現実的な模型を構築した。また、F(R)重力がヤン=ミルズ場と結合した理論でインフレーションを考え、どのようにすれば宇宙膨張の時間発展を再構築できるかを明らかにした。
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