2006 Fiscal Year Annual Research Report
感熱応答性高分子の相転移・相分離過程のナノ秒・ミリ秒ダイナミクス
Project/Area Number |
18550002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坪井 泰之 北海道大学, 大学院理学研究院, 助教授 (00283698)
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Keywords | コイル / グロビュール / 近赤外レーザー / ポリビニルメチルエーテル / ラマンシフタ |
Research Abstract |
ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)やポリビニルメチルエーテルは代表的な感熱応答性高分子である。水溶液中では室温では均一に溶解しているが、10K程度の温度上昇により、コイル→グロビュール型の構造変化を起こし(相転移)、水相/高分子相へと相分離する。このような相転移と引き続く相分離のダイナミックスを明らかにする(時定数を計測する)のが本研究の目的である。今年度は、以下の成果を得た。 色素増感レーザー温度ジャンプ法により、各種試料の相分離時定数を決定した。興味深いことに、相分時定数に影響を与える色素と、影響を与えない色素の二種類が存在することがあかり、両者は試料水溶液の電子スペクトル(吸収スペクトル)から判別できることも明らかにした。 近赤外ラマンレーザー温度ジャンプ計測法を開発した。YAGレーザー基本波1064nmは、水を弱くしか励起できず、見込める上昇温度も小さい。そこで、非線形光学結晶をラマンシフターに用い、波長を1300nmに変換した。この光を用いると、色素増感法に拠らなくても、温度ジャンプ計測が可能になる。これにより、一連の試料の相分離時間を系統的に決定することが出来た。 相分離時定数と分子量の相関関係を解明した。上記1)2)の計測法は、同じ時定数を与え、本手法が有効であることが示された。さらに、相分離速度は試料高分子の2乗に比例することがわかり、そのモデリングも行なった。
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