2007 Fiscal Year Annual Research Report
感熱応答性高分子の相転移・相分離過程のナノ秒・ミリ秒ダイナミクス
Project/Area Number |
18550002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坪井 泰之 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 准教授 (00283698)
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Keywords | コイル / グロビュール / 刺激応答性高分子 / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / ポリビニルメチルエーテル / ゲル / 体積相転移 / 蛍光プローブ |
Research Abstract |
ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAと略記)やポリビニルメチルエーテルは代表的な感熱応答性高分子である。水溶液中では室温では均一に溶解しているが、10K程度の温度上昇により、コイル→グロビュール型の構造変化を起こし(相転移)、水相/高分子相へと相分離する。このような相転移と引き続く相分離のダイナミックスを明らかにする(時定数を計測する)のが本研究の目的である。今年度は、以下の成果を得た。 1) 相分離時定数と分子量の相関関係を解明した。この結果に基づき、「水溶液中で絡み合っいる高分子鎖は、あたかも架橋したゲルのように振舞う」と考えれば、「水溶液の相分離」は「架橋ゲルの体積相転移(収縮)」と同様のモデル(式)で既述できることを明らかにした。この成果は、Y. Tsuboi, et. al.: J.Phys. Chem. B 2008; 112(9); 2562-2565にて、速報として掲載された。 2) 蛍光ラベルしたPIPAを試料として用い、コイル型からグロビュール型への相転移のダイナミクスを計測した。この蛍光プローブは、水和の程度に応じて蛍光極大波数が鋭敏にシフトするという性質を有している。構築したレーザー温度ジャンプ型時間分解分光システムを駆使し、温度ジャンプ後の蛍光ダイナミックストークスシフトを追跡し、相転移を時定数を始めて決定できた(35μs)。この成果は、第57回高分子学会年次大会にて発表する(2Pf096)。
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Research Products
(9 results)