2007 Fiscal Year Annual Research Report
表面反応過程における分子の運動エネルギー散逸についての研究
Project/Area Number |
18550004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高岡 毅 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 講師 (90261479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 忠弘 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30312234)
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Keywords | 固体表面 / STM / 赤外分光 / 化学反応 / 触媒反応 |
Research Abstract |
平成19年度においては、昨年設計および製作した超音速分子線技術、およびそれらを超高真空装置に設置するための部品を利用して、過渡的拡散のメカニズムを明らかにするための実験を行った。低温に保った清浄な白金表面にごく少量の一酸化炭素を吸着させた後に、運動エネルギーを制御したネオン原子およびアルゴン原子を照射した時の赤外分光スペクトルの変化から一酸化炭素の拡散を調べた。昨年度の研究により、拡散の活性化エネルギーを測定することができたので、さらに拡散中の運動エネルギーの緩和を見積もる(衝突誘起拡散を利用した分子摩擦測定)ことを試みた。 あらかじめ一酸化炭素分子を吸着させておいたステップ面に運動エネルギー制御した希ガス原子を照射する。希ガス原子の一部は一酸化炭素分子に衝突し、運動エネルギーを与える。一酸化炭素分子は表面上を動き始めるが、摩擦係数が非常に大きいと一酸化炭素分子はすぐに運動エネルギーを失い、すぐに止まってしまう。一方、摩擦係数が小さい場合は、一酸化炭素分子の運動エネルギーは減衰しにくく遠くまで動くことができる。よって、希ガス原子照射後の一酸化炭素分子分布から摩擦係数を知ることができる。ただし、衝突によって一酸化炭素分子が得ることのできる運動エネルギーや移動方向は、衝突時の希ガス原子と一酸化炭素分子の幾何学的な関係に依存するので、分子動力学(MD)計算を行った上で、一酸化炭素分子の吸着位置分布から摩擦係数を得た。この手法で白金表面の上の一酸化炭素に働く摩擦係数を8x10^<12>sec^<-1>と見積もることができた。
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