2008 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解和周波発生法による氷金属界面の融解ダイナミクス
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18550008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保田 純 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (50272711)
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Keywords | 表面・界面 / 超高速分光 / 和周波発生 / 氷薄膜 / 表面振動分光 / )振動緩和 / 界面エネルギー移動 / 単結晶表面 |
Research Abstract |
本年度においては前年度に引き続きクライオスタット装置(極低温小型冷凍機)を用いた実験を行なった。氷は超高真空下では150K前後で昇華脱離するために、現有の装置の最低温度、約120K、では近赤外ポンプ光照射によって容易に脱離し時間分解観察が困難である。前年度にクライオスタット装置を用いた極低温サンプルホルダを製作したが、十分な性能を得られていないので、これを改良して用いた。Pt(111)表面上の重水による氷の結晶は逆対称伸縮振動と対称伸縮振動に基づく2つの振動モードによるピークが和周波スペクトル上に現れるが、Pt表面を光励起すると逆対称伸縮振動によるピークは2ピコ秒以内に応答するのに対し、対称伸縮振動モードによるビークは立ちがりが200ビコ秒と非常に遅く応答することがわかった。これは励起された金属電子系と水分子の各々の振動のカップリングの強さの差異だと考察される。また、数百ピコ秒という長い時間のオーダーで金属表面の水分子が熱的平衡に達していないことは極めて新しい知見である また、Pt(111)表面上に成膜した二酸化チタン薄膜表面の小分子のダイナミクスにも研究を広げ、ピコ秒で吸着分子が変化する様子を直接観測した。ギ酸を二酸化チタン表面上に導入すると三種類のギ酸イオン種の構造が観察されるが、このうち二種類の間で近赤外ピコ秒ポンプパルスによる刺激によって構造変化することが見出された。これは、二種の構造が独立した吸着サイトによるものではなく、ごく近傍のサイトの差異によってつくられていることを示すものである。
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Research Products
(3 results)