2007 Fiscal Year Annual Research Report
逆ミセルを動的反応場とする時間空間パターン形成の分子ダイナミクス
Project/Area Number |
18550010
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
片岡 弘 University of Toyama, 人間発達科学部, 准教授 (10361940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 寛 信州大学, 理学部, 准教授 (60241783)
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Keywords | BZ反応 / 逆ミセル / AOT / 反応拡散系 / パターン形成 / 化学振動反応 / パーコレーション / マイクロエマルション |
Research Abstract |
本年度は、以下の項目について研究を実施した。 1.BZ-AOT系のキャラクタリゼーションBZ-AOT系とはビス(2-エチルヘキシル)スルホ琥珀酸ナトリウム(AOT)を界面活性剤として使用した逆ミセルの内部を、Belousov-Zhabotinsky(BZ)反応の反応場とした系である。逆ミセル相の相図をもとに、 BZ試薬が逆ミセルのイオン移動特性に与える影響について検討した。主として電気伝導率測定の臨界指数を指標とし、逆ミセルの体積分率依存性から物質移動メカニズムを推定した。その結果、体積分率増加に伴うパーコレーションメカニズム(動的な経路から静的な経路への変化)はBZ試薬中の臭素酸イオン濃度には依存しないことがわかった。このことから、BZ-AOT系についても従来のAOT系で考察されていた物質移動モデルを適用してよいことが示唆された。 2.パーコレーションモデルに基づく物質移動シミュレーション反応拡散モデルに基づく空間パターンシミュレーションの考察過程で、3次元パーコレーションモデルのスケーリング則を検証する必要性が生じたため、新規にプログラムを開発して検討を開始した。小さな格子サイズでは臨界指数の値が予測値より約50%大きくなる傾向が認められ、有限サイズスケーリング法に基づく詳細な検討が必要である事がわかった。 3.新規なBZ反応場の探索逆ミセル以外のコロイド系自己組織化構造について、BZ反応場としての可能性を探索するため、先ずミセル系について線形安定性解析に基づく検討を行った。その結果、現在妥当と考えられている反応パラメータを用いる限りでは、ミセル系では定常状態が常に安定となるため、化学振動反応は起こらない可能性が高いことがわかった。このことから疎水性の反応中間体が高速で移動できる環境が必要である事が示唆された。
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