2008 Fiscal Year Annual Research Report
逆ミセルを動的反応場とする時間空間パターン形成の分子ダイナミクス
Project/Area Number |
18550010
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
片岡 弘 University of Toyama, 人間発達科学部, 准教授 (10361940)
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Keywords | BZ反応 / 逆ミセル / AOT / 反応拡散系 / パターン形成 / 化学振動反応 / パーコレーション / マイクロエマルション |
Research Abstract |
逆ミセルの動的制限空間のダイナミクスがBZ反応の時間空間パターン形成に及ぼす影響を分子ダイナミクスの観点から解明し、逆ミセルを反応場とするBZ反応パターン制御方法の確立を目指した。今年度は以下の検討を実施した。 1. BZ-AOT系のキャラクタリゼーション Belousov-Zhabotinsky(BZ)反応試薬の添加が、陰イオン性界面活性剤AOTを使用した逆ミセル中に分散した水滴間の物質移動特性に及ぼす影響を調べるため、電気伝導率の水滴体積分率依存性を測定した。その結果、(1)マロン酸やフェロインは逆ミセルの挙動にほとんど影響を与えないこと、一方、(2)硫酸は逆ミセルを不安定化させること、及び(3)臭素酸塩はイオン伝導を妨げる効果を持つことが分かった。(2)と(3)については、それぞれ、水素イオンおよびナトリウムイオンによる逆ミセル膜のSO3基間のクーロン反発力の増大あるいは緩和によるものと考えられる。以上のことから、臭素酸塩の添加がBZ反応速度とドロップレット間の物質移動の双方に同時に影響を与えることを考慮した反応拡散モデルの構築が必要であることが明らかとなった。 2. 新規なBZ反応場の探索 BZ反応場としてAOT逆ミセル以外の自己組織化構造の可能性を探索するため、非イオン性界面活性剤C12E5/水の2成分系について検討を行った。その結果、BZ溶液にC12E5を添加すると、パターンの波長と振動数は変化するが、速度は一定であることが観測できた。
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