Research Abstract |
「研究主要テーマ」として,「(A)時間に依存しないHamilton演算子から得られる分光スペクトル,(B)時間依存のHamilton演算子から得られる質量スペクトル」を考えた。 (A)では,主に4種のスペクトル解析((1)有機物のXPS及びXES,(2)Mn_<12>分子磁石の電子状態,(3)交互炭化水素分子の共鳴XES,(4)第二周期元素(C, N, O, F)を含む物質のKVV'のAES)について追究した。 (1)の成果は,O, CO, N,及びSを含むポリマーについて,共同研究者のKurmaevらによって内外で最初のC Kα実測スペクトル,更にそのポリマーのC1s内殻電子スペクトルを結合エネルギー的に精度高く解析できたことである。(2)の研究もKurmaevらとの共同で選択的に注目原子に対して共鳴XES測定を行い,理論的解析からMn_<12>O_<12>(CH_3COO)_<16>(H_2O)_4分子のMn_<12>の電子状態を明らかにした。(3)に関してはC_nH_n分子のabinitio MO計算においてLUMOへの1電子励起の中間状態を考慮することにその分子の共鳴XESを解析することができた。(4)の研究「第二周期元素(C, N, O, F)を含む物質のオージェ電子スペクトルの解析」はオージェ電子スペクトルのエネルギー計算に関して、新しい算出法を提唱することが出来ている。これらはこの5月の理論化学討論会(名古屋大学)及び8月の国際会議DFT2007(Amsterdam)で報告する。実例としては,グラファイトのC, GaNのN, SiO_2のO及びLiFのFに関するオージェ電子スペクトルの解析結果を示す。その他,固体NMRの共同研究を追究した。 また並行研究として進行中の(B)では量子分子動力学プログラムの改良(ab initio MOプログラムとMDプログラムをドッキング)して一体化し、ポリマー,フラーレン及び有機分子などの熱分解をシミュレーションし、TOF-SIMSによる有機物の質量スペクトルと対比させることを本年度の国際会議ECASIA(Brussels)などで報告する。
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