2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18550016
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
相原 惇一 Shizuoka University, 理学部, 教授 (40001838)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 理香 静岡大学, 理学部, 准教授 (50211321)
|
Keywords | 環電流 / 反磁性 / 芳香族性 / 大環状共役系 / ポルフィリン / ポリアセン / ポルフィリン / アヌレン積層二量体 |
Research Abstract |
反芳香族的な大環状共役系(macrocyclic π-system)をもつ拡張ポルフィリンでは、主たる大環状共役経路(main macrocyclic conjugation pathway)と主たる環電流の経路(main circularion pathway)が異なる。この現象は、分子全体に誘起される環電流を大環状共役系に誘起される常磁性環電流と個々のピロール環に誘起される反磁性環電流に分割することにより説明することができた。また、分子内で隣接するいくつかの5員環が縮合したポルフィリン類の主たる大環状共役経路を予想するグラフ理論的方法を導いた。 最近の研究によると、大きなポリアセン類はジラジカル1重項が基底状態となる可能性が大きい。グラフ理論的解析により、このような開殻分子では、最高被占軌道は芳香族性に寄与せず、分子全体が閉殻ジカチオンと類似の芳香族性を示すことが明らかになった。 2個の反芳香族アヌレン分子を上下から接近させると、それぞれの分子が相手の分子を認識した時点で、誘起環電流が常磁性から反磁性に劇的に変化する。グラフ理論的解析によると、この不可思議な現象は、2個のアヌレン分子が接近して生成する二量体(積層二量体)の側面に多数の4員環が生じることと関連する。ただし、このような二量体が形成されても、二量体がエネルギー的に安定な芳香族分子になるわけではない。 ベンゼン分子に人為的に結合交替を導入しても、その芳香族性や環電流の大きさはあまり変化しない。この現象をグラフ理論的に解明し、このような現象はベンゼン分子に特に顕著であることを明らかにした。
|
Research Products
(7 results)