2007 Fiscal Year Annual Research Report
超低速励起状態酸素原子の生成による励起状態酸素原子の反応動力学研究の新展開
Project/Area Number |
18550017
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤村 陽 Kanagawa Institute of Technology, 基礎・教養教育センター, 准教授 (00222266)
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Keywords | 気相素反応 / 反応動力学 / 酸素原子 / 励起状態 / 低エネルギー衝突 / レーザー分光 / 振動回転分布 |
Research Abstract |
本研究では、燃焼化学ならびに大気化学において重要な役割を果たす励起酸素原子O(1D)原子の反応について、励起状態の反応への寄与を明らかにする目的で、超低速のO(1D)原子を生成して、その反応の生成物の振動回転分布を詳細に測定する。ここで言う励起状態とはO(1D)と反応分子の系の励起状態のことで、挿入型の反応が主で活性化障壁もなく大きな反応断面積をもつ基底状態に対して、引き抜き的な反応のため活性化障壁が存在する。超低速のO(1D)原子を用いるのは、このO(1D)原子の反応の励起状態の反応障壁の高さが非常に低いことが示唆されている反応や、反応障壁の高さが未知の反応において、励起状態の寄与がまったくない低い衝突エネルギーを得るためである。超低速のO(1D)原子を得るために、本研究ではオゾンO_3の紫外光吸収の長波長端近くの波長でO_3を光励起し、その光解離生成物のO(1D)原子の反応動力学を研究する。 本年度は昨年度に引き続き、この研究目的のために、O_3を用いた化学反応実験に適した実験装置として作成したガラス製の小型真空装置を用いて、O_3の308nm紫外光励起で生成した超低速O(1D)原子と水分子との反応によって生成するOH分子をレーザー誘起蛍光法により検出して、その振動回転分布を測定している。この実験を通してO_3量を安定化、シグナル強度の向上などの最適化のために装置に改良を加え、良好な結果を得ている。
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