2006 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場を利用した水和イオン集団の水素結合ネットワーク形成に関する研究
Project/Area Number |
18550019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤原 昌夫 広島大学, 大学院理学研究科, 助手 (00199390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 能文 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (10110743)
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Keywords | 強磁場 / 磁性イオン / 磁気力 / 磁気移動 |
Research Abstract |
強磁場下,液相で磁性水和イオンは磁気力によって移動する。このとき,水和イオンは単独でなく,多数の水和イオンから成る大きな集団を形成して運動する。本研究の目的は,この水和イオン集団の移動を強磁場下で観測することによって,水和イオン集団のサイズと構造を解明することである。 まず,磁性水和イオンとして二価銅イオンに対して,強磁場下において,水和イオン集団が移動する速度について検討した。水和イオン集団の形状を球形に近似することによって,周囲のバルクの水分子の環境から,水和イオン集団が受ける摩擦力の評価を単純化した。更に,水和イオン集団に作用する磁気力と,水和イオン集団がバルクの水分子から受ける摩擦力が釣り合って,水和イオン集団は終末速度で移動すると仮定した。 次に,水和イオン集団に作用する磁気力は,輸送される磁化の量,即ち,水和イオン集団に含まれる磁性イオンの数に支配されることを考慮した。そのために,熱拡散によって,水和イオン集団から磁性イオンの濃度が減少する速度について検討した。 こうして,強磁場下における水和イオン集団の移動距離の時間変化と,熱拡散による拡散距離の時間変化を測定して,これらの実測値をシミュレーション計算で再現することを試みた。 結果として,現在までに,移動距離の実験結果を,球形モデル近似による計算結果と比較して,水和イオン集団のサイズを直径4.6μmと見積もった。水和イオン集団は,そのサイズが極めて大きいことに驚かされる。
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