2007 Fiscal Year Annual Research Report
複素座標法を用いた原子・分子の共鳴状態およびイオン化過程の理論的研究
Project/Area Number |
18550023
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藪下 聡 Keio University, 理工学部, 教授 (50210315)
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Keywords | 複素座標法 / 光イオン化 / 共鳴状態 / 自動イオン化 / 軌道指数最適化 / 形状共鳴状態 / 振動数依存分極率 / 複素基底関数 |
Research Abstract |
水素分子の2電子励起自動イオン化状態や水素分子負イオンの形状共鳴状態の共鳴位置や寿命の複素基底関数法を用いた計算を、基底関数として微分基底関数の形式と解析的微分関数の形式で行い、良好な結果を得た。 光イオン化断面積の計算において、振動数依存分極率に対する変分原理と複素基底関数法を基礎にして、それぞれの振動数ごとに基底関数を最適化することで、必要な複素基底関数の数を従来よりも大幅に削減できること、配置間相互作用法を用いて、電子相関を十分に考慮した自動イオン化の計算が可能であることを明らかにした。つまり、 H原子の様々な光イオン化チャンネルの断面積を新手法で計算し、連続状態を含む遷移モーメントが、わずか1、2個の複素基底関数により効率良く抽出され、広いエネルギー領域で断面積が正確に得られること、Gauss型とSlater型の複素基底関数が同精度の断面積を与えることを明らかにした。さらに、He原子の直接イオン化チャンネルへの応用を行い、H原子の場合と同様に、1、2個の複素基底関数により実験値と良く一致する結果を得ることに成功した。 電子相関によって生じるHeやBeの自動イオン化への応用を行い、2電子励起状態を表現する実基底関数に1個の複素基底関数を加え、後者を変分原理に従って最適化することで、従来の複素基底関数法では困難であった自動イオン化のFano profileを正確に描くことに成功した。また、基底状態の電子相関が特に重要である、水素負イオンの光脱離断面積を正確に計算することにも成功し、その有効性を示した。
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Research Products
(3 results)